こんにちは。今回は、私が有形商材から無形商材の営業に転職し、最も激しい壁にぶつかった「ヒアリング」についてお話しします。
「誰よりも準備をしている自負があるのに、なぜか商談がうまくいかない」 「質問をたくさん用意していったのに、上司から『尋問のようだ』とフィードバックを受けてしまった」
もし今、そんな悩みを抱えて苦しんでいる方がいたら、この記事はまさにあなたのためのものです。かつての私が、まさにそのどん底にいたからです。
無形商材のヒアリングをスムーズにし、顧客が自ら動く「動機」をつくるために本当に必要だったのは、準備の「量」ではなく、「事前の目線合わせ(立場と役割の理解)」と「想定ペインの持参」という、前準備の“方向性”でした。
誰よりも準備していた私が、なぜ「尋問」になってしまったのか
有形商材の営業をしていた頃は、「物」という分かりやすい起点がありました。カタログや製品そのものがレール(前提)になってくれるため、ある程度決まった流れのなかで会話を進めることができました。
しかし、無形商材にはそのレールがありません。目に見えない「課題解決の仕組み」を売るからこそ、相手のことを深く理解することから始める必要があります。
転職当時の私は、とにかく必死でした。「誰よりも準備をして臨もう」と、インサイドセールス(IS)が取得してくれた情報をもとに、「この情報なら、当日はこういう質問を投げよう」と、ヒアリングの攻勢を常にシミュレーションして商談に臨んでいました。
しかし、結果は惨敗。相手が何をしているのかイマイチ掴めないまま質問をくり返し、理解が追いつかないまま話が進んでいく。上司からは「あれじゃあ営業じゃなくて尋問だよ」と言われる始末でした。
なぜ、あんなに準備したのに上手くいかなかったのか。理由は2つありました。
原因①:画用紙の上にポツンとある「点」の会話をしていたから
ISがくれた情報は、白紙の画用紙にポツンと打たれた「1つの点」のようなものです。 その点だけを頼りに質問を用意しても、こちらが質問を投げたとき、相手の返答(次の点)がどこに飛び出るかは分かりません。自分の予想から少しでも外れた瞬間に引き出しがなくなり、会話がフリーズして空中戦になってしまっていたのです。
原因②:潜在層の顧客は、そもそも「ツール」に興味がないから
特に無形商材の場合、「よく分からないけれど、とりあえず面談がセットされた」という潜在層の顧客も多くいます。 そんな相手に対して、こちらが「挨拶代わりに」とツールの案内をいくら熱心にしたところで、相手には興味関心がありません。小手先の質問テクニックをぶつける前に、まずは「相手の理解」から始めるしか道はなかったのです。
【解決策①】商談前の「挨拶電話」で、点を「面」に変える
予測不能な方向に会話が飛んでフリーズするのを防ぐため、私は「面談前の挨拶電話」の段階で、相手のキャンバス(背景)をシンプルに捉えにいくようにやり方を変えました。
ISの情報だけを鵜呑みにせず、事前に一本お電話を入れ、以下のようなステップでシンプルに問いを投げます。
- 「当日の面談を有意義な時間にしたいので、事前に少しだけ教えてください」(大義名分の提示)
- 「〇〇にご所属だと思いますが、普段は具体的にどんなお仕事をされているのでしょうか?」(立場・役割の理解)
- 「その中で、いま会社から求められているテーマや、やらなければならないことって何かあったりされますか?」(ミッションの把握)
- 「その中で、どんなことで困ることがありますか?」(障害の把握)
事前にこの「困りごと」までをサラッと把握しておくことで、面談当日の準備の土台が180度変わります。画用紙の「点」だった情報が、相手の仕事の解像度が上がった「面」の情報へと進化するからです。
これによって、「当日はどんな想定ペインを持って臨めばいいか」の仮説が、恐ろしいほど正確に立てられるようになります。
【解決策②】当日は「困りごと」を「動機」に変える4レイヤーの対話
事前の挨拶電話で「目線合わせ」と「困りごとの把握」ができているため、当日の面談で迷子になることはもうありません。
当日は、持参した想定ペイン(仮説)を頭に置きながら、事前にお伺いしていた「困りごと」を起点に、相手が自ら動き出したくなる「動機」へと一本のストーリーで繋いでいきます。
ここでも、投げかける問いは非常にシンプルです。
- 原因の深掘り:「その困りごとって、なぜ起こってしまっているのでしょうか?」
- 悪影響(真のペイン)の自覚:「それによって、今どんな悪影響が出てしまっていますか?」
- 理想の状態の可視化:「これらが解消されて、やるべきことが達成されたら、どういう状態になれるのでしょうか?」
相手をコントロールしようとするのではなく、「一緒に現状を整理していきましょう」というスタンスでこの3つを紐解いていきます。
「困りごと」の背景にある原因と悪影響を自覚し、それが解決された先の理想の姿を描けたとき、顧客のなかに「やらなければならない理由(動機)」が明確に生まれます。これこそが、無形商材営業におけるヒアリングのゴールです。
まとめ:準備の「量」ではなく「方向」を変えよう
ヒアリングが上手くいかず、「尋問になっている」と言われて悩んでいる方へ。 それはあなたのスキルが足りないわけでも、準備をサボっているからでもありません。ただ、準備の「向いている方向」が、ほんの少しズレていただけです。
- 商談の前に、挨拶電話で相手の立場・役割の目線合わせをする
- 相手の仕事の解像度を上げた状態で、想定ペインを持って面談に臨む
この2つを意識するだけで、明日の商談から景色がガラリと変わるはずです。 かつての私と同じように、無形商材の荒波のなかで必死にもがいている営業パーソンのヒントになれば幸いです。
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