メーカー営業とSaaS営業の違いとは?評価・給与・働き方を比較

仕事とキャリア

「今のままでいいのかな」。ふとそう思う瞬間、ありませんか。

メーカーで営業をしていると、SaaSやIT業界の話を聞くたびに、少しまぶしく感じることがあります。同時に、「自分は営業が得意なわけじゃないし、30代後半で今さら畑違いの世界に行けるのか」という不安の方が、正直大きいのではないかと思います。私自身、その両方の気持ちを抱えながら、今もこの世界でもがいています。

この記事では、メーカー営業からSaaS営業への転職を考え始めた方向けに、まず知っておいてほしいことを整理していきます。

メーカー営業からSaaS営業へ、まず結論から

結論から言うと、30代後半・メーカー営業という経歴は、SaaS業界への転職においてハンデにはなりません。むしろ武器になる部分もあります。ただし、誰にでもおすすめできるわけではない、というのが正直なところです。

30代後半でもチャンスがある理由

一般的に、SaaS業界は「THE MODEL」と呼ばれる分業型の営業組織を採用している企業が多く、未経験者の採用にも比較的積極的だと言われています。年齢よりも、これまでの営業経験の中でどんな力を培ってきたかを見てくれる企業が多い印象です。

メーカー営業で培った「相手の状況を読む力」「数字と向き合ってきた経験」「粘り強く関係を作る力」は、業界が変わっても土台として活きます。実際、私も転職活動を始めるまでは「畑違いすぎて相手にされないのでは」と思っていましたが、話を聞いてもらえる企業は想像より多くありました。

ただし全員におすすめできるわけではない

一方で、正直に言っておきたいことがあります。SaaS営業は、成果主義の色合いが強い企業が多く、メーカー時代のような「じっくり型」の評価とは違う働き方を求められる場面も出てきます。

「とにかく安定を最優先したい」「今の給与水準を絶対に落とせない」という状況であれば、無理に転職を急ぐ必要はないと思います。焦って飛び込んで後悔するより、まずは自分が何を優先したいのかを整理することの方が大事です。

メーカー営業とSaaS営業、何がどう違うのか

結論として、同じ「営業」という言葉でも、中身はかなり違います。ここを知らずに転職すると、ギャップに戸惑うことになるので、先に整理しておきます。

商材・提案の仕方の違い(モノ売り→コト売り)

メーカー営業は、商品というモノを軸に、品質や価格、納期といった目に見える条件で勝負する場面が多いと思います。一方でSaaS営業は、目に見えないサービスを扱うぶん、「これを使うとお客様の会社がどう変わるか」という、ゴールや課題への理解が問われます。

これは優劣の話ではなく、単純に「何を軸に会話をするか」が変わる、という話です。最初はこの違いに戸惑う方が多いようです。

評価のされ方・数字への向き合い方の違い

メーカーでは、既存の取引先との関係性や、長年積み上げてきた実績が評価に反映されやすい傾向があります。SaaS業界、特にベンチャー企業では、直近の成果がより重視される場面が多く、「今期の数字」に対するプレッシャーの感じ方が変わってくる可能性があります。

実は、メーカー時代は気温や天候といった市場環境が数字に影響する文化があり、「気温が低くて売れなかった」というように、自分ではコントロールできない要因で結果が左右されることがありました。ある程度は「仕方ない」と許容される空気もあったんですよね。

一方でSaaS営業は、景気の影響がまったくないわけではありませんが、それ以上に自分自身のアプローチやスキルが結果に直結する度合いが大きいと感じています。数字が伸びない時に市場のせいにできず、常に自分ごととして捉える必要がある。プレッシャーであると同時に、自分が成長できる部分でもあるなと感じています。

この「結果と評価の結びつき方」の違いは、給与体系にもそのまま表れています。一般的に、大手メーカーのような企業には、成果にかかわらず一定の昇給が見込める定期昇給の仕組みがあることが多いようです。一方でSaaS、特にベンチャー企業は成果主義の色合いが強く、成果を出せば給与が上がりやすい反面、出せなければ上がりにくいという仕組みになっている会社が多い印象です(このあたりは会社によって差があるので、選考の中で確認しておくと安心です)。

働き方・カルチャーの違い(スピード感、リモート前提など)

SaaS業界、特にベンチャー企業ではリモートワークを前提にしている会社も多く、意思決定のスピードも速い傾向があります。メーカーの大手企業でじっくり承認を積み上げてきた方にとっては、最初は「これでいいの?」と戸惑う場面もあるかもしれません。

ただ、家族との時間の取りやすさという意味では、働き方が変わることをポジティブに感じる方も多いようです。このあたりは、会社によって差があるので、選考の中でしっかり確認することをおすすめします。

向いている人・向いていない人

結論として、「営業が得意ではない」と感じている人ほど、実はSaaS営業に向いている可能性があります。逆に、今の環境にしかない価値を大事にしたい人は、無理に動く必要はありません。

こんな不安を持つ人ほど、実は向いていることもある

「自分は口下手だし、営業向きじゃない」と感じている方。実は、SaaS営業で求められているのは、饒舌に話す力よりも、お客様の状況を丁寧に理解しようとする姿勢だったりします。

「数字をゴリ押しするタイプではない」ことに引け目を感じている方も、心配しすぎなくて大丈夫だと思います。押しの強さより、課題への理解の深さの方が重視される場面が多いようです。

逆に、こういう人は今の場所の方がいいかもしれない

一方で、今の会社の安定した評価制度や、長年の関係性の中で働くことに大きな満足感を持っている方は、無理に飛び込む必要はありません。転職はあくまで手段であって、目的ではないからです。

今の環境に不満がないのに「なんとなく周りが転職しているから」という理由だけで動くのは、あまりおすすめできません。

[体験談] メーカー営業をしていた自分が感じた不安と、実際どうだったか

正直に言うと、転職を考え始めた頃の私は、不安の方がずっと大きかったです。「30代後半で、しかも畑違い。書類すら通らないんじゃないか」と、何度も弱気になりました。

実際、30代半ばという年齢と、メーカー営業出身という経歴の両方が、選考の中で懸念されることは正直多かったです。転職してみると、営業の進め方そのものが全然違うことも実感しました。

ただ、全部がダメだったわけではありませんでした。「仕事に取り組む姿勢」や「仕事をする上での自分なりの考え方」は、職種が変わっても通用する土台なんだ、と気づいたんですよね。そこを丁寧に言語化してアピールしたことで、ちゃんと評価してくれる会社があると分かりました。

それでも動いてみて分かったのは、「案じていたほど扉は閉じていなかった」ということです。もちろん簡単ではありませんでしたが、一歩踏み出したこと自体は後悔していません。

良かったことも、学びになったこともあります。前職は出社文化でしたが、転職後はリモート中心になり、夕方に一度仕事を切り上げて子供をお風呂に入れたり、家族でご飯を食べたりできるようになりました。今まで取れなかった時間が取れるようになったのは、本当に大きかったです。

一方で、正直に言うと反省点もあります。業界ごとに給与体系の考え方が違うということを、もっと事前にちゃんと理解しておくべきだったな、というのが正直な学びです。それでも、成長できる環境と家族との時間を踏まえると、転職して良かったと感じています。

転職を考えるなら、まず何から始めるか

結論として、いきなり転職活動を始める前に、情報収集からゆっくり始めることをおすすめします。

情報収集の仕方

まずはSaaS業界がどんな構造で営業組織を作っているのか、どんな職種があるのかを調べてみるところから始めるとよいと思います。エージェントに話を聞いてみる、転職者のブログを読んでみる、といった小さな一歩で十分です。

いきなり応募書類を書き始める必要はありません。「知る」段階を丁寧に踏むことで、後の不安がだいぶ減ります。

焦って決めなくていい理由

家族がいる場合、収入や働き方の変化は自分だけの問題ではありません。だからこそ、焦って決断する必要はないと思います。

私自身、給与が下がる可能性については、事前にパートナーとしっかり話し合いました。共働きを続けていく前提であることを伝え、理解してもらった上で転職に踏み切っています。その分、今まではできなかった朝や夕方以降の時間を、家庭のためにしっかり使うようにしています。

パートナーとじっくり話し合う時間を取ることも、転職活動と同じくらい大事なプロセスです。

まとめ:迷っているなら、それは悪いサインじゃない

「このままでいいのか」と迷っている時点で、もう十分に自分のキャリアと向き合えていると思います。迷いは弱さではなく、真剣に考えている証拠です。

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