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前回の記事では、私が30代後半で「大手企業の果てしない順番待ち」を降り、勝負の舞台を社外の市場に移した理由をお話ししました。
大手メーカーからIT・SaaSベンチャーへの転職、そしてフルリモート勤務への切り替え——。異業界転職は、想像していた以上に「働く常識が180度ひっくり返る日々」の始まりでした。
正直に言うと、転職してから一番きつかったのは、家族の時間や給与のことよりも、実は「メーカー時代の当たり前が、ここでは一切通用しない」という言葉と慣習の壁でした。この記事では、その壁の正体と、プライドを手放しながら乗り越えていった過程を中心にお伝えします。
メーカー営業からIT・SaaS営業へ。異業界転職で待っていた「180度違う働き方」
私は最終的に、大手メーカーからIT・SaaSベンチャーの営業(フィールドセールス)へと転職しました。同じ「営業職」であっても、有形商材から無形商材への転換、そして働き方そのものが大きく変わることになります。特にフルリモート勤務への移行は、転勤ありきだった大手メーカー時代とは全く違う人生の選択肢を与えてくれました。
ただ、実際に飛び込んでみると、働き方の変化以上に私を戸惑わせたのは、日々のコミュニケーションで使われる言葉そのものが違う、ということでした。
家族時間と成果主義。ここは前回の記事で詳しく話しています
転職してからの変化として、「フルリモートで家族との時間が圧倒的に増えたこと」と、「定期昇給がなくなり、成果次第で給料が上下する成果主義のシビアさ」の2つは、間違いなく大きな出来事でした。
大手にいた頃に付きまとっていた「転勤」のリスクが消え、家族と過ごす時間がガラリと変わった一方で、「会社に籍を置いているだけで一定の給与が担保される」という大手の当たり前は、ベンチャーには存在しません。この2つのギャップについては、実際の生活がどう変わったかを含めて、以下の記事でかなり具体的に書いています。
この詳しい話はこちらの記事で:【働き方のリアル】フル出社からフルリモートへ。元メーカー営業の私が手に入れた「家族の時間」と、背負った「成果主義のヒリヒリ感」
この記事では、ここから先、家族時間や給与の話ではなく、私自身が一番苦しんだ「言葉と慣習の壁」について、もう少し掘り下げていきます。
異業界転職で一番苦しかった「言葉と慣習の壁」
結論から言うと、フルリモートという働き方の変化よりも、メーカーからIT・SaaSへ移ったことで生じた「言葉と慣習の壁」の方が、私にとってはよほど大きな試練でした。
意味が分からなかった専門用語の数々
正直に言うと、転職して最初の会議では、飛び交う言葉の意味が半分も分かりませんでした。IS(インサイドセールス)、FS(フィールドセールス)、CS(カスタマーサクセス)、THE MODEL(型)、ARR。分業の名前も、指標の名前も、それまで聞いたことがない略語ばかりで、しかもモデルの定義自体が複数あるらしく、何が正解なのかも分からないまま会話が進んでいく感覚でした。
「今の話、要するにどういうこと?」と会議中に何度も心の中でつぶやいていたのを覚えています。
メール文化からSlackへ。コミュニケーションの文化そのものが違った
言葉の意味以上に戸惑ったのが、コミュニケーションの取り方そのものでした。前職はメールでのやり取りが中心でしたが、転職先はSlackでのスピーディーなテキストコミュニケーションが当たり前。上司とのやり取りひとつとっても、「どんな言葉遣いが適切なのか」「スタンプ1つで返信を済ませてしまっていいのか」といった、今思えば些細なことに、当時はいちいち悩んでいました。
Notion、Salesforce。数値管理からテキスト管理へのツールの違い
ツールの違いにも苦労しました。Notion、Salesforceなど、それまで触ったことのないツールばかりだったからです。前職では数値を管理するツールが中心だったのに対して、今の仕事はテキスト情報を管理することが中心になる、という違いも大きかったですね。同じ「営業」という仕事でも、頭の使い方そのものを変える必要があると感じた瞬間でした。
ちなみに、フルリモートでの商談が中心になってから、最低限揃えておいてよかったガジェットについては、オンライン商談、これだけは揃えたい3点にまとめています。
書籍とYouTubeで、泥臭くキャッチアップした
この壁を乗り越えるために私がやったのは、とにかく泥臭いキャッチアップでした。
まず手に取ったのが『THE MODEL』(PR)です。分業型の営業組織そのものを解説してくれている本で、自分が今どのポジションにいて、何を求められているのかを理解する入り口になりました。あわせて『営業の科学』(PR)も読み、営業を勘や根性ではなくデータで捉え直す視点を学びました。
すでにTHE MODEL型の組織構造を理解している方や、体系立った営業理論よりも実践から学びたいタイプの方には、遠回りに感じられるかもしれません。
書籍だけでなく、YouTubeでSaaS営業系のチャンネルもいくつか見て勉強しましたし、最終的にはツールを実際に触りながら少しずつ慣れていく、という地道な方法しかなかったように思います。
もう少し感情面での葛藤も含めた記録はこちら:【マインド変革】「自分が無能に思える」最初の3ヶ月をどう超えたか。私が大手メーカーの成功体験を捨てて、年下に頭を下げ続けたリアルな記録
プライドを手放せるかどうかの分かれ道
言葉の壁以上に難しかったのは、「これまでの大手での成功体験(過去の自分)を綺麗に否定できるか」、そして「自分より一回りも若い世代の同僚から、プライドを捨てて素直に学べるか」という、マインド面の壁でした。
正直、ここを拗らせてしまう人の気持ちもよく分かります。それなりの実績を積んできたからこそ、「前職の大手ではこうだった」という言葉が、つい口をついて出そうになる瞬間が何度もありました。ただ、ここでプライドに固執した人は、ベンチャーでは一瞬で脱落していく、というのも同時に見えてきた現実でした。
過去のキャリアを否定されているわけではなく、「ここでは、ここのやり方を学び直す」というだけの話だと割り切れるかどうか。この切り替えが、想像していた以上に大きな分かれ道になると感じています。
年齢に関係なく裁量をもらえる環境で見えてきたもの
苦労は多いですが、ベンチャーは意欲さえあれば年齢に関係なく、どんどん裁量を持たせて新しい仕事にチャレンジさせてくれます。また、最新のAI活用なども社内で当たり前のように進んでいるため、大手にいた頃とは比較にならないスピードで、自分のスキルが磨かれている確信(仕事貯金)があります。
「異業界転職 30代」で悩んでいる方にこそ、この伸びしろの話を知ってほしいと思います。言葉の壁も、プライドの壁も、乗り越えた先には、年齢を言い訳にしなくていい環境が待っていました。
まとめ:転職で市場価値を確かなものにするためにできること
異業界のベンチャーで揉まれ、圧倒的なポータブルスキル(どこでも通用する力)を身につけた今、私の中にはある「強い自信」が芽生えています。
それは、「もし極端な話、元のメーカー業界に戻ることがあったとしても、今の自分なら当時以上の圧倒的な価値(無形営業のノウハウやデジタルスキル)を見出せるし、どの環境でもステップアップできる」という確信です。
大手の看板に守られた「見せかけの安定」の中にいるうちは、自分の本当の市場価値は分かりません。あえて言葉も慣習も違う環境に身を置き、プライドを一度手放してみること。これこそが、自分の価値を高めて、将来の給与を本当の意味で確かなものにし、世の中に貢献できるビジネスパーソンになる唯一の道なのではないでしょうか。
もしあなたが今、大手の環境にモヤモヤしているなら、まずは社外の世界に触れてみることを強くおすすめします。まずは、会社の看板を外した「あなた」にどんなオファーが届くのか、市場価値を測ることから始めてみてください。その一歩が、数年後にどこでも食っていける本物のスキルを手に入れる分岐点になります。転職活動の具体的な進め方はこちらの記事も参考にしてください。

