この記事は、前回の投資が苦手な自分でもわかった、ROICとWACCの意味の続きです。
前回、WACC(会社がお金を集める最低ハードル)とROIC(投じたお金をどれだけ効率よく稼ぎに変えられたか)の意味を嚙み砕きました。
ただ、意味がわかっても「じゃあ実際どこで見ればいいの?」というところで止まっていたので、今回は実際に調べてみました。
ROICはここで見られる
ROICは決算データから計算できる指標なので、無料の財務分析サイトでまとめて確認できます。
- バフェット・コード(buffett-code.com):決算データを集約した企業情報プラットフォーム
- EDINETDB(edinetdb.jp):全上場企業のROICを自動計算・ランキング化
- IRBANK:決算・株価情報をまとめたデータプラットフォーム
気になる会社の名前で検索すれば、ROICの推移がすぐに確認できます。
ちなみにYahoo!ファイナンスの個別銘柄ページでは、PER・PBR・ROEなど代表的な指標は見られますが、ROICは基本的に載っていないようでした。
まずYahoo!ファイナンスで全体感を掴んで、ROICだけは上記のサイトで確認する、という流れが現実的そうです。
試しにEDINETDBで、売上高の大きい有名企業10社のROICを見てみました。
| 企業 | ROIC(%) |
|---|---|
| トヨタ自動車 | 5.34 |
| 本田技研工業 | -6.19 |
| NTT | 12.72 |
| ソニーグループ | 19.53 |
| 日産自動車 | 0.49 |
| ENEOSホールディングス | 9.13 |
| 豊田通商 | 13.90 |
| イオン | 5.02 |
| セブン&アイ・ホールディングス | 6.03 |
| 日本製鉄 | 4.79 |
※EDINETDB(2026年9月5日時点)のデータを引用。要ファクトチェック・最新値は各社IRでご確認ください。同じ「大手」でも業種によってROICの水準はかなり違うことがわかります。
WACCは企業の発表を見るしかない
一方でWACCは、正直ここが一番の発見でした。
WACCは「株主が期待するリターン」など仮定を置いて計算する指標なので、ROICのようにランキング化されたサイトが見当たりません。
2023年に東京証券取引所が上場企業へ「資本コストや株価を意識した経営」を要請して以降、多くの企業が中期経営計画や統合報告書で想定WACCを自ら開示するようになっています。
気になる会社の中期経営計画を検索してみるのが、今のところ一番現実的な方法でした。
実際にやってみた3ステップ

完璧な計算式を覚えるより、「稼ぐ力が調達コストに勝てているか」という目線で会社の情報を眺める習慣をつくることの方が、自分のような初心者には合っている気がしています。
ROICとWACCの差(スプレッド)は、実際どれくらいあるといいの?
ここまで「ROICがWACCを上回っているか」を見てきましたが、「どれくらい上回っていれば良いのか」も気になるところだと思います。
調べてみると、興味深い実態がわかりました。
KPMGジャパンが日本の主要上場企業321社を対象に行った調査によると、ROICからWACCを引いた「ROICスプレッド」の中央値は、2023年度で-0.07%。
つまり日本企業の実態は、平均するとまだギリギリ合格ラインか、わずかに届いていない水準でした。
ただし2020年度と比べると0.88ポイント改善しており、少しずつ良くなってきている段階のようです(出典:日本経済新聞2025年8月28日付、税研「会計知識録」経由)。
投資判断としての目安は、実は「何ポイント以上ならOK」という絶対的な正解はなく、自社のWACCを上回っているかどうかで相対的に判断するのが基本のようです。その上で、参考になりそうな目安としては
- プラスであること自体が、価値創造の最低条件
- ROICがWACCより2ポイント以上高ければ、資本を効率的に使えている目安とする考え方もある
- ROIC自体が10〜15%あれば優良企業水準、15%以上なら卓越した水準(EDINETDBの目安)
という感覚で見ると、実態に近そうです。
日本企業の平均がまだ「ギリギリ」の水準だと知ると、逆にプラスのスプレッドを維持できている会社は、それだけで結構がんばっている、という見方もできそうです。
まとめ
ROICはサイトでまとめて見られる一方、WACCは企業の発表を頼りにするしかない。調べてみるまで知らなかった発見でした。
みなさんは普段、企業分析でどんなサイトやツールを使っていますか?

